GL(グランドレベル)とは?住宅のプロがGLの決め方を徹底解説(広島県福山市版)
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(※ブログ記事の内容を家づくりコンシェルジュが動画で分かりやすく解説しています。ぜひ、こちらの動画でご覧ください)
- 住宅会社からGLって言われたけど、何のこと?
- GLの正しい決め方を教えて!
- 水害に強い家とGLは関係があるの?
家を建てようと考えると、外観や間取り・キッチンはこうしよう、などと想像が広がりますよね。
長く暮らす家だからと、老後の暮らしやすさを求める人もいるでしょう。
また近年、集中的に雨が降ることも多く水害を心配する人も増えていますよね。
実は安全に暮らせる家には、建物の高さが関係しています。
この記事では、家づくりで言われる「GL(グランドレベル)」について解説します。
最後までお読みいただいたら、「家のグランドレベル(GL)は・・・」といきなり住宅会社から言われても困ることがなくなりますよ。
家づくりで出てくる「GL(グランドレベル)」とは?
GLとは、グランドレベルの略で建物などの地盤面の高さのことです。
GLは家づくりの際に渡される敷地配置図に、「GL=BM+●●mm」と表記されているのが一般的です。
住宅会社から「GL+300」と言われたら、「BMより(多くが前面の道路)30cm高いところに敷地がある」とイメージしましょう。
BMはベンチマークの略で、家づくりの際に動かない、側溝やマンホールが基準(0)となるのが一般的です。
暮らしやすい家づくりのためには、GLをしっかり考えることが大事です。
とは言え、「30cm高い位置に・・」と説明されても、イメージしにくいですよね。
GLが低いとどうなるのか、逆に高いとどうなるのか、もう少し詳しく解説していきます。
家づくりでGLが低いとどうなる?
ずばり結論から述べると、GLが低い場合は敷地内の駐車場や玄関までのアプローチまでの傾斜は緩やかになります。
たとえば、建物から道路までの間に6mの駐車場を作るとして、傾斜を考えてみましょう。
- GL+200の場合:200mm÷6000mm×100=3.3%
- GL+300の場合:300mm÷6000mm×100=5%
このように、地面の傾斜はGLが低いほうが緩やかになると計算できます。
しかし、「GLは低い=傾斜が緩やか」が必ずしも良いわけではありません。
地形的に土地が低いところには雨が集まるので、GLが低いと敷地に水が入り込み水害の可能性が高くなります。
GLが低すぎて、傾斜が緩やかすぎると、家の敷地から水がスムーズに排水されません。
暮らしやすさとリスクを考えて、GLはしっかりと決めることが大切です。
家づくりでGLが高いとどうなる?
先ほどの計算でもわかるように、「GLが高い=傾斜がきつくなる」ということになります。
水害に備えることはできますが、何も考えずにGLをめいいっぱい上げることはおすすめできません。
GLが高すぎると、駐車の際に車の腹を擦ってしまったり、老後に玄関周りの段差につまづいてしまったりするリスクがあります。
GLは高すぎても、低すぎてもトラブルや後悔のもととなるので、住宅会社や外構業者としっかり相談して決めることが大切です。
どこを基準にする?GLの決め方
GLの設定は、住み始めてからのストレスに直結するポイントです。
だからこそ、安易にGLを決めてしまうことはとても危険です。
では、どのようにGLを設定すればよいのでしょうか?
ここからは、何を基準にするのか、GLの決め方を紹介します。
決め方①道路よりも高くする
GL設定の基本は、道路より高くなるように設定することです。
道路よりも高いGLになっていれば、大雨のときも敷地内に雨水が貯まることなく、道路の側溝に流れていきます。
このとき、敷地の形状をよく見てみると、前面の道路にも傾斜がついているケースがほとんどです。
この場合は、前面道路の一番高い点をBM(ベンチマーク)とし、そこから10〜20㎝程度高い位置をGLと設定します。
たとえば、このような丘の上に建つ住宅があった場合を考えてみましょう。
この敷地は、北(写真の左)から南(写真の右)に向かって、道路が下がっています。
なので、北側の隅をBMとして、ここから10㎝〜20㎝高い位置をGLとすると、駐車場の勾配がおよそ2〜3%となり、ストレスなく暮らせる外構計画となります。
決め方②駐車計画の奥行で考える
GLを決めるとき、敷地の奥行きも重要なポイントです。
たとえば、奥行きがない土地では駐車計画の関係でGLを低く設定するケースが多くなります。
奥行きが無いのにGLを高くすると、傾斜がきつくなり車の腹を擦ったり、駐車場に入れないこともあるからです。
同じGL+200mmの条件で、6mの駐車場と4mの駐車場の場合で、傾斜を比較してみましょう。
- GL+200の6m駐車場:200mm÷6000mm×100=3.3%
- GL+200の4m駐車場:200mm÷4000mm×100=5%
4mの駐車場は5%と傾斜がきつめになるため、GLは100mm〜150mmと低くして、傾斜を2〜3%程度にしたほうが安心ですね。
車を所有している人にとって、駐車計画は重要です。
駐車時にストレスを感じないように、駐車場の奥行に合わせて適切なGLを決めていきましょう。
決め方③玄関前のステップを考える
長く住み続けるためには、老後も暮らしやすい家づくりが大切です。
GLが高すぎる設定だと傾斜がきつくなり、玄関に入るまでのステップ数が多くなったり、ステップ1段あたりの高さが高くなったりします。
玄関前のステップに高さがあったり段数が多いと、年齢に関係なく上がりづらいと感じますが高齢であればなおさらですよね。
GLが適切に設定され、傾斜が緩やかであれば、車イスが必要になってもスロープがつけやすくなります。
小さい子供がいる家庭でも、ベビーカーが使いやすく子供の足でも段差が登れますね。
玄関前のステップがどうなるかを考えてみると、適正なGLの高さが見つかるでしょう。
決め方④隣地と同じくらいの高さにする
隣地の高さに合わせて、GLを決める方法もあります。
隣地とGLの差がない方が、家を建ててからのトラブルを防げるからです。
たとえば、自分の土地の方が高い場合は、雨水や土が低い方に流れてお隣から苦情が出る可能性がありますよね。
少しの差ならコンクリートブロックを積むだけで済みますが、差が大きいほど費用の負担も増えてしまいます。
反対に自分の土地が低くてお隣が聞き入れてくれないと、大きなトラブルにつながることもあるでしょう。
ご近所トラブルの原因を作らないように、隣地と同じ高さにするのも決め方のひとつです。
家づくりでGLを設定するときの注意点
家づくりで最初に取り掛かる基礎工事は、必ず設定したGLを基準に進められます。
余分な土を取り除いたり土が足りなくて追加するなど、基礎作りは設計通りに家を建てるための重要な部分です。
基礎のコンクリートが終わってから「GLが低すぎた」「GLが高すぎた」と思っても、変更はできません。
基礎を始める前に住宅会社から「GLはここにしますよ」と言われたときに、GLの意味を知らずに適当な返事をしないように注意しましょう。
分からないことをあいまいにせずに、しっかり質問し理解した上でよく考えてGLを決めることが大事です。
【おまけ】敷地内が道路よりも高い場合の外構(庭づくり)はどうなる?
駐車場はなだらかに、家を建てる敷地を高くしたい場合は、敷地内の高低差が大きくなるので、家の土台の土がこぼれないように土留めが必要です。
土留めとは土を留めること、擁壁は土を留めるための壁のことを言います。
擁壁は、コンクリートブロックや積み石風の他いろいろな方法がありますよ。
下記は、コンクリートブロックの土留めの例です。
このお家は家側の敷地が高くなっており、手前の白色のコンクリートの部分からの高低差があります。
敷地内の高さにあわせて傾斜をつくると、傾斜がきつくなり利用しづらくなってしまうため、コンクリートで土留めがされています。
外構によっては、土留め・擁壁に上るためのステップをつけることもありますよ。
敷地が高い、高低差のある家は、土地をなだらかにするために土留め・擁壁が必要なケースが多いと覚えておきましょう。
土留めや擁壁など、家づくりで覚えておきたい用語はこちらの記事でまとめているので、ぜひご覧ください。
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まとめ
この記事では、建物の高さの基準・GLについて紹介しました。
最後に簡単にまとめます。
- GLとは、グランドレベルの略で建物の地盤面の高さのこと
- GLの高さは家の外構の全てに影響するほど重要
- GLは奥行のない駐車場や玄関前の段差を抑えるときは低く設定する
- 排水・浸水の面でGLは道路より高く設定し、隣地とGLを合わせる
- GLは工事の途中で変更できないのでよく考えて決める
GLは外構や、建ってからの暮らしやすさに関わる大切なポイントです。
後悔しないために、GLをよく理解して、住宅会社や業者と相談しながら、理想の家を手に入れてください。